「日高河清姫図」
7月15日(土)に「古道成寺」を舞いますので、村上華岳の名画「日高河清姫図」をぜひ観たいと思い、東京国立近代美術館「重要文化財の秘密」展に行ってきました。
国立近代美術館70周年記念だそうで、展示されている作品がすべて重要文化財という、ずいぶん贅沢な展覧会でした。
さすがの見応え。
上村松園や岸田劉生の作品はやっぱり圧倒的な存在感でしたし、高村光雲「老猿」はあまりの迫力に鳥肌がたちました。小出楢重「Nの家族」は初めて実物を拝見しましたが、印刷物で受けていた印象とはまったく違う、とても洒落た雰囲気で驚きました。
目当ての「日高河清姫図」は、蛇体になる前の清姫が描かれていて、儚げで悲しく、じっと観ていたら涙が出てきました。白くて小さい足が、ただただ哀れで。つらい恋を経験されたことのある方がこの絵をご覧になれば、カタルシスを感じるのではないかと思いました。「古道成寺」を舞わせていただくのは3回めですが、清姫のイメージがふっと固まった気がしました。
「日高河清姫図」は、清姫の可憐さを強調するような表装も素晴らしく、会期最終日にぎりぎりすべり込みで伺ったのですが、本当に観ることが出来て良かったです。
村上華岳は「描くことは祈りに通じる」が持論だったそうです。僭越ながら私自身も「舞は祈り」だと感じていますので、力をいただいたような、正しく導かれたような気持ちになりました。