カテゴリー 「舞台」 に投稿されたブログ記事一覧

あっという間に

7月8月と、おかげさまで目がまわるような忙しさ、はっと気づけば9月も半ばを過ぎておりました。

7月は、人形町・よし梅さんの「怪談 愛の化身か修羅の素顔か」と赤坂・浅田さんの「あかさか座敷舞さろん」に出演。
ほかにイベントやパーティーも数多く、大阪出張も3回。
8月は、人形町・よし梅さんの「伝統芸能ウィーク」に参加させていただいたほか、イベントもたくさんありました。

「怪談 愛の化身か修羅の素顔か」では、若佐紀師匠振付の地歌『古道成寺』を、村澤丈児先生の歌と三味線で。毎年恒例の人気企画で、昼夜とも満員のお客さまにお越しいただきました。ほかに神田山緑先生の講談『四谷怪談』。いつものメンバーで、終演後の打ち上げも和気藹々と過ごしました。

「あかさか座敷舞さろん」は、一中節十二世宗家の都一中先生にご演奏いただき『小春髪結之段』。こちらは拙いながら若静紀が振付させていただきました。一中節で舞うのは初めてでしたが、品よく文学的な香りもあり、改めて魅力を感じました。客席も豪華で、人間国宝の画家のお孫さまや、とても有名な会社の社長さまも。

「伝統芸能ウィーク」は、よし梅さんが伝統芸能従事者を応援しようと企画してくださり、今年で4年めになります。平日晩に日替わりで行われ、落語や邦楽の演奏など盛りだくさん。今回、私は小唄の伊吹清寿師匠、小唄幸三希師匠と参加させていただきました。こちらも客席に著名な歌人で科学者の先生や、ノーベル賞受賞の噂もあった先生もお越しくださり、光栄な時間でした。

まったく休日のない夏が終わり、秋は舞台など拝見に伺って、エネルギーチャージをしたいと思います。

暑くて熱い夏にお世話になった皆さま、ありがとうございました。

ABCホール「RENBO」公演ご感想

4月開催のABCホール公演のご感想をお送りいただきました。とても素敵な文章でしたので、ご了解をいただいて掲載いたします。

お書きくださったのは、京都にお住まいの遠山佐知子さん。私たちが目指したものを言語化してくださり、とても嬉しいです。ありがとうございました!

—————–

『恋慕 RENBO』
2日目「博愛」の感想

胡弓と琴の優しい音に導かれる『賢者の贈り物』の物語り、よりドラマ的でひとり芝居のような朗読がマッチして流石でした。
『芝浜』のたっぷりの情感には引き込まれ、春蝶師匠演じるおかみさんが、本当に女の人の姿かたちでそこに居て(そう見えて)ドキリとしました。
『萬歳』では、八方に放たれる言祝ぎのパワーに包まれて、無性にハッピーな気分が高まりました。また、菊央さんの音楽に乗せ文学があり落語があり、そして上方舞『萬歳』へという流れは、全体を通して「ことば」という側面をより浮かびあがらせるのか、『萬歳』の歌と舞がひと塊りの言祝ぎ(文字通りことば)として贈られているという印象を強くしました。
異国の人もむかしの人も、人は目の前の相手を思いやって人生をあたたかくする。だから今目の前のあなた、あなた、あなたを祝福するという博愛のメッセージ。昨今は自分を守るために疑心暗鬼の鎧をつけるフォーマットが目につきます。そんな中、シンプルで普遍的な理想の灯火をともしてもらったようで、胸があたたまりました。

研鑽を積まれた芸の見ごたえ聞きごたえは言うまでもありません。そのうえで、『恋慕 RENBO』ではそれぞれの確かな様式の枠組みに、相互に入り込む風のような動きが起こっているのを感じました。風の動きは有機的に波及して、おしまいには三つの演目も客席もその場ごと内包して、ひとつの何かに結んでしまったかのようでした。
「結ぶ」というのは、ものごとを繋ぐだけのことではないのだと、思い出したのは幸田文の『結ぶこと』というエッセイです。幸田文が父露伴に「ものがわかるとはどういうこと?」と訊ねると、「氷の張るようなものだ」という答えが返ってきたと書かれています。
「一ツの知識がつつと水の上へ直線の手を伸ばす、その直線の手からは又も一ツの知識の直線が派生する、派生はさらに派生をふやす、そして近い直線の先端と先端とはあるとき急に牽きあい伸びあって結合する。すると直線の環に囲まれた内側の水面には薄氷が行きわたる。それが『わかる』ということ」(『結ぶこと』幸田文より)だと露伴は言いました。
この氷結ぶ現象の、「ある時急に牽きあい伸びあって結合する瞬間」や、そうして「環に囲まれた薄氷が行きわたる」ようなことが『恋慕 RENBO』にもあったと私には感じられました。
ではいったい『恋慕 RENBO』のそのとき、結ばれたものとは何か、露伴のいう「わかる」に当たることとは何かというと、いまだ私にはわかりません。でも、(前述の)風はそもどこから発生したのか、といえば、わかぎえふさんの演出からだということはわかります。演出とはすごいことなのですね。扇風機の風のようなものではなくて、有機的に波及する未知なるそれを起こすというのは簡単なことではありませんから。
今回、二日間を通して拝見できなかったことが悔やまれました。三公演すべて拝見して、ひとつひとつの演目を味わいながら、縦横に行き交う風を受けてみたかったと思います。

今の世は、はやくて易しいものが多く求められる風潮にありますが、露伴先生も仰るように「わかる」とは、いついつどう結ぶ(わかる)とは知れないのがほんとうだと思います。
演目を繋げるばかりでなく結ぶ『恋慕 RENBO』のコラボレーションを、これからも続けていただけたら嬉しいです。今後も期待しております。

古典芸能に限らず、こうした生の舞台を観る経験があまりありませんでしたので、つたないことを長々と書きました。お目汚し、たいへん失礼をいたしました。

PARCO劇場「夜叉ヶ池」

IMG_3322

お稽古にお越しのお弟子さんが出演されるので、お招きいただきPARCO劇場「夜叉ヶ池」に行ってきました。

「夜叉ヶ池」といえば、坂東玉三郎さんの舞台や映画の印象が強いので、どんな演出で、どんなふうに演じられるのか、とても興味がありました。

大好きな森山開次さんが振付をなさっていたのですが、泉鏡花の世界にぴったり。美術や衣装も素晴らしく、新しい感覚の「夜叉ヶ池」を堪能しました。

開演前には、お弟子さんが所属されてる事務所の社長さんがわざわざ客席までご挨拶にお越しくださり、恐縮してしまいました。
とても熱心にお稽古に通っておられ、稽古場でも人気者でいらっしゃいます、とお伝えしました。

現在、稽古場には3名の女優さんが通ってきておられます。
皆さん本当に熱心で、頭が下がる思いです。
着物での姿勢や所作をきっちり身につけておられる役者さんが、もっと増えると嬉しいなと思っています。

「夜叉ヶ池」は5月23日まで。
ご縁のある方にぜひご覧いただきたいお舞台です。

ABCホール「RENBO/恋慕」

IMG_3213

大阪ABCホール「RENBO/恋慕〜いつの世も人は人を想う」3公演、おかげさまで終演いたしました。
ご来場の皆さま、本当にありがとうございました!

ABCテレビの保坂和拓さんの熱いプロデュース、わかぎゑふさんの古典と現代を知り尽くされた演出。お客さまをぐっと惹きつける桂春蝶師匠、知性と可憐さに惚れてしまう桂紗綾さん。信頼の菊央雄司先生。

照明さん、音響さん、写真の佐藤浩さん、衣装さん、床山さん、顔師さん、そのほか最高のスタッフの皆さま。そして細やかに楽屋手伝いをしてくれた若静雪さん。

宝物のような時間を過ごさせていただきました。また、上方舞をこのような切り口でご覧いただけるのかと、新しい可能性を感じました。

またこのメンバーで再演できますように!これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

『静かに戀する舞night vol.4』

神楽坂にて、京都の日本舞踊家・西川影戀さんと、舞踊とトークのイベント『静かに戀する舞night』を不定期で開催しています。

毎回テーマがあり、ゲストのお話と、テーマに沿った舞踊をお楽しみいただきます。
今までお越しいただいたゲストは、元大阪北新地No.1芸妓の西川梅十三師匠、弓馬術礼法小笠原流次期宗家の小笠原清基先生、津田塾大学教授の三砂ちづる先生と、豪華な皆さま。
小さな会場なので、とてもアットホームな雰囲気で、いつも客席からの質問もどんどん飛び出します。

先日行った4回めは、テーマが「笑い」、ゲストは大蔵流狂言方の茂山茂さん。
狂言の笑いの実演、大蔵流狂言の特徴、お稽古のことなど、たっぷりお話くださいました。

舞踊は、まずはじめに『梅にも春』をふたり同時に。
同じ曲を別々の振付で実演させていただきましたので、西川流の踊りと山村流の舞の違いが、ずいぶん際立ったのではないかと思います。

それから『萬歳』を、影戀は義太夫で、若静紀は地歌で。
こちらも続けてご覧いただいたことで、曲や流儀の特徴をわかりやすく感じていただけたのではないでしょうか。

今回は新年ということで福引きも。
手拭いやワイン、お扇子、若静紀の著書などをプレゼント。
質疑応答の時間も盛り上がり、おひらきになりました。

『静かに戀する舞night』は、これからも続けてまいります。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。

お知らせ

2023.05.05

大阪・西区、東京・新宿区、オンラインの個人稽古は随時受付中。大阪・練心庵、神戸・凱風館、東京・目黒学園のグループ稽古は、恐れ入りますがお休みさせていただいております。

2020.04.01

オンライン稽古をはじめました。詳細はお問い合わせください。

2018.04.24

個人稽古が東京・神楽坂と大阪・九条、グループ稽古が東京・二子玉川と豊中・曽根にて開講中です。